遅延損害金とは、借金の返済が滞った際の損害賠償にあたり、返済期限を過ぎると発生する罰金のようなものです。
ローンや借金などには支払期限があり、当然ながら債権者はこの支払期限までは債務者に対して督促はしません。
債権者は支払期日までは契約により支払いを待ってくれているのです。
これを債務者が持つ「期限の利益」といいます。
契約上、債務者は支払期限までは返済をしなくてよい、とされているのです。
ところが支払期限を過ぎても債務者が返済をしない場合には、債権者は督促をする権利が発生します。
これは債務者が持つ期限の利益がなくなることを意味しています。
この状態を「期限の利益の喪失」といいます。
支払期限を過ぎても債務を支払わないことに対するペナルティが遅延損害金です。
この期限の利益を喪失すると、債権者は残金を一括して返済するよう求めてきますので、ローン残高をすべて返済する必要が生じます。
ローンや借金、地代家賃にもかかる
この遅延損害金はローンや借金以外にも様々なものにかかります。
賃貸アパートに住んでいて家賃を支払わないと遅延損害金がかかる場合があります。
契約書に「乙(債務者)は甲(債権者)に対し、残元金に対する年○○パーセントの割合による遅延損害金を支払う。」といった文言が記載されています。
この他にも水道料金や下水道料金などの公共料金にも遅延損害金が発生するのです。
所得税や固定資産税などの税金にも延滞税という名の遅延損害金があります。
遅延損害金の利率
遅延損害金の利率は、利息制限法によって定められています。
遅延損害金の基準になる債務が10万円未満の場合は29.2%、10万円以上100万円未満の場合は26.28%、100万円以上の場合は21.9%です。
実務上は契約書や約款などで定められていることが多く、年率14%から20%程度です。
中には14.6%といった中途半端な利率もあります。
これは1日あたり100円につき0.04円の利息×365日=14.6円になるためです。
1日ごとの利息を基準としているのでこのような細かい利率になります。
遅延損害金は以下の算式で計算します。
借入残高 × 遅延損害金利率(年率) ÷ 365 × 延滞日数
例えば、残り2000万円の住宅ローンで期限の利益を喪失し、100日滞納していたとします。
2000万円×14.6%÷365日×100日=800,000円
となり、かなりの金額になります。
遅延損害金は支払う必要があるか
元本の返済と利息を支払うことだけで精一杯で、遅延損害金までは払えない。
債務者はそう考えてしまいます。
ですが、遅延損害金は利息制限法にも記載されているものです。
この利息制限法に、遅延損害金は支払わなければならない、とは決められているわけではありません。
ですが、契約書に遅延損害金を支払うことに同意する条項があれば支払う必要があるのです。
多くの金融機関の消費貸借契約書には遅延損害金の規定が置かれています。
アパートを借りる際の賃貸借契約や何かの仕事をする役務契約などにも記載されている場合もあるのです。
契約書に記載されている以上、支払う義務は発生します。
債権者も返済が滞った場合には遅延損害金支払条項に基づいて遅延損害金を請求してくることでしょう。
遅延損害金の発生はブラックリストに掲載の可能性も
遅延損害金の発生は、いわゆるブラックリストへの掲載事由になります。
債権者からの督促が何度か行われた場合は、すでにブラックリストに掲載されている場合もあるのです。
ただし、短期間で遅延損害金や遅れていた元本や利息を支払い、遅延が一度きりならば大きな問題にはなりません。
また、クレジットカード等では一度引き落としができなかったからといってすぐに遅延損害金を請求してこない場合もあります。
すぐに対応しなかったり、返済しない期間が長くなったりするとブラックリストを覚悟すべきです。
ただ、一度で短期間であれば過度に恐れる必要はありません。
早めにリースバックや任意売却の検討を
遅延損害金が発生している状況では、返済が困難になっているはずです。
次の段階では差押えが申請されることになります。
こうなるとリースバックや任意売却も困難になります。
差押えがやってくる前にリースバックや任意売却を前向きに検討し、清算をするようにしましょう。