しかし、中には相談いただいても任意売却に応じていただけず、「どうしてもこの家に住み続けたい」「どうせ家を売るなら競売でも良いから強制的に追い出されるまで何としても居座ってやる」という方もいらっしゃいました。
当時は、このような方々のお力になることができず、最終的には競売で家を追い出されてしまい、更には多額の負債まで背負うという悲劇的な結末を迎えた方を何度も目にしました。
もちろん、住宅ローンを支払えなくなってしまった状態であっても、住み慣れた家にどうしても住み続けたいというお気持ちは痛いほどよく理解できましたし、お子様や両親などご家族の事情でお引越しが難しい方々もいらっしゃいました。
何とかそんな方々のお力になることはできないだろうか…
そう考えた末に行き着いたのがリースバックでした。
リースバックであれば、自宅を売却して競売を回避したり、ローン返済の負担を軽減できるうえに、自宅にそのまま住み続けられると考えました。
もともとリースバックという概念は昔からありましたが、多くは事業用の資金調達の手法の一つで、一般のご自宅をリースバックするということは、最近までほとんど行われていませんでした。
リースバックという手法が一般の市場にほとんど浸透していなかった背景は、リースバックの引き受け手、つまりその不動産を購入してくれたうえでそのまま賃貸で貸してくれるという投資家がほとんどいなかったことが挙げられます。
相談はあっても買ってくれる人がいない。それが、リースバックが普及しなかった理由でした。
しかし、「協力してくれる投資家や会社があれば、リースバックが普及すれば多くの方が自宅を失わずに済む」、と考えて協力者を募ることを始めました。
最初はなかなか理解してもらえず断られることが多く、また興味を持っていただいても賃料や買取金額、物件の立地などにおいて非常に厳しい条件を突きつけられることも少なくありませんでした。
しかし、投資家の意見も聞きながら、投資家にとってもリスクが低いリースバックの仕組みを構築していき、さらに地道に営業活動を続けた結果、今では協力してくださる投資家や企業、ファンドが30社を超えました。
その結果、ご相談いただいた方に対して、これまでの常識ではリースバックの成立が難しかった方でも契約を成立させられるようになりました。
そして、これまで築いた投資家とのネットワークと、リースバックの仕組みやノウハウを活用して、生活資金やローンの返済に苦しむ方々が大切な自宅を守っていただくために、リースバック事業の更なる拡大を進めております。